京都市は6月1日、京都駅と清水寺や祇園などの人気観光地を結ぶ「観光特急バス」の運行を開始した。運賃は通常の約2倍。国内外から多くの観光客が押し寄せるなか、「地元住民がバスに乗れない」という苦情も多く、観光客と市民のすみ分けをめざす。オーバーツーリズム(観光公害)対策として国の規制緩和を使った全国初の取り組みである。
松井孝治京都市長は出発式で、「この試みの成果を検証して、さらに前に進めていきたい」と述べた。
観光特急バスは、土日祝に津に通年運転し、京都駅前~清水寺近くの五条坂を結ぶ便(EX100号系統・1日16便)と、京都駅前と五条坂、祇園、銀閣寺などを結ぶ便(EX101号系統・1日24便)の2系統。特に混雑の激しい清水寺行きのバスの混雑を緩和する狙いで、五条坂への所用時間は通常15分から10分に短縮される。
運賃は大人500円、子ども250円で、通常(大人230円、子ども120円)の約2倍。観光スポットへ直行する急行バスは届け出だけで運賃を変えられるよう昨年12月に道路運送法施行規則が改正され、京都市が全国で初の適用事例となる。
運賃は通常より高いが、地下鉄・バス1日券(大人1,100円、子ども550円)で乗ることができる。1日券の利用者の9割は観光客が占める。また、市民が普段使う敬老乗車証や定期券などでは乗れない。観光客に観光特急バスを利用してもらうことで、通常の路線バスの混雑を緩和して市民が使いやすくなることを狙う。